

最近自転車にどハマりしている。
取手に住み、そこが自転車の街だと知った時、衝撃を受けた。誰も自転車になんか乗っていない。過去を遡ると競輪場があったことから、 自転車の街として栄えようとしたらしい。いまはそんな取手で、自転車が大量に放置され、破棄されている。 私は、現在一日のほとんどの時間を金工工房で過ごしている。金属はとても頑固な素材だ。切る、曲げる、継ぐ、全てに膨大な時間が かかる。ほっておけばすぐに真っ赤に錆びる。そのかわり、とても強い。とてつもない荷重に耐え、回転に耐えてくれる。
自転車と金属を融合させて、私の制作活動によって、自転車は生まれ変わる。 かつて私にとっての自転車は、自分の力を最大限に引き伸ばしてくれる装置だった。 どこに行くにも乗って行ったし、どこまででもいける気がした。
それぞれの自転車にはストーリーがある。どこで買ったのか、どんな使い方をしたのか、どこに行ったのか。 乗らなくなってしまった自転車をもらうたびにそういう話をたくさん聞いてきた。私がその元の持ち主の記憶の断片を集め介入する ことで、時間も歴史も静止してしまった主人のない自転車に、新しい命を吹き込むことは出来ないだろうか。

